親子で楽しむ夏休み
更新日: 2023年11月15日(水)
この特集記事で巡ったコースは、モデルコースとして公開されています。
ぜひ、併せてご覧いただき、夏の思い出作りに栗原市へお越しください。
宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)
今日は自然豊かな宮城県栗原市に、一組の親子が夏休みにとっておきの想い出をつくるためにやって来た。お兄ちゃんと妹の仲良しコンビとお母さんの三人は、今日のために朝から早起きをして新幹線でひとっ飛び!「JRくりこま高原駅」で下車をしてから、車で約10分のところにある「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」に到着。
親子が目指している夏休みの旅は、くりはらの歴史や生き物などを学びながらも、思いっきり楽しい時間を過ごしたいというもの。さあ、どんな出会いと体験が待っているかな?
まずは、野鳥たちの世界に出発だ!
仲良し兄妹の子どもたちは、二人そろって元気よく館内へと駆け込んだ。
親子が訪れた「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」は、野鳥について学びながら楽しめるのが特徴!見た目は大きな白い鍋のような形で、チャームポイントのふにゃりと曲がったユニークな屋根は、ハクチョウが羽を広げたデザイン。
栗原市にゆったりと広がる伊豆沼・内沼は冬の時期でも水面が凍結しにくい環境なので、世界中から数多くの渡り鳥たちが越冬をするためにこの地にやってくる。代表的なマガンやマガモに、オオハクチョウなど他にもさまざまな種類の鳥が生息していて、そして沼の中や周囲には約700種の水生植物なども存在しているそう!
その他、絶滅危惧種のゼニタナゴなどを含めた約40種の魚類に、昆虫類なども沼を棲家として暮らしているというからすごいね。
『うわあ、ひろぉい!』
『見て!あそこに鳥みたいな影!』
広いフロアと高い吹き抜け天井を目の前に、小さな兄妹は目を輝かせてキョロキョロと見渡す。ゆるやかなカーブを描いている館内の壁はガラス張りになっていて、ところどころに野鳥の形をしたステッカーが貼られている。そこに太陽の光が館内にたっぷりと差し込み、まるで鳥たちが空を飛んでいるような空間だ。
『ほら、見てみて。あそこが伊豆沼でしょ。ここの鳥館は、ほらあそこ!』
『え!どこどこ?』
最初に親子が発見したのは、入口すぐそばにある「伊豆沼・内沼地形模型図」だ。それは伊豆沼・内沼を中心に、周囲の地域を本格的に再現したもの。お母さんと一緒に二人は目を大きくさせながら、上から見下ろす街の姿に興味津々の様子。
『伊豆沼は大きいでしょ?ここにね、たくさんの鳥たちがやってくるんだよ。』
施設の解説員の方が声をかけてにっこりと微笑むと、二人はワクワクした表情を浮かべた。
『じゃあ、どんな鳥たちが居るのか見てみよっか!』
お母さんの一声に、二人は早速奥の展示コーナーへ。
施設は二階建ての造りで、一階は「伊豆沼・内沼のいきもの」のフロアがある。そこは、小学校低学年から大人まで夢中になれる空間が広がっている。高さ4.5メートルの壁には本物の鳥の剥製が展示されていて、今にも動き出しそうな迫力!
『ねえ、あれ見て!かわいい!』
二人は壁に止まっている色々な種類の鳥を発見しては、大きく指を差していく。沼にこんなにもたくさんの鳥たちが住んでいることを知って、小さな兄妹は大感激をしている様子。お母さんはそれを見て、優しく嬉しそうな表情で微笑む。普段はあまり見られない子どもたちの何気ない素振りを感じられるのは、ちょっぴりくすぐったい親子旅の素敵なところ。
そして次は、沼に暮らす鳥たちの謎々コーナー。伊豆沼・内沼の形をした木のテーブルの上には、なにやらたくさんの問題が書かれていて二人は真剣な表情に。
『どのトリの・・タマゴかな?』
『これは、ニワトリでしょ。でもこの大きいのは・・』
二人はお互いに考えを伝え合って、うーんと顔を見合わせる。
『じゃあさ、答えを見てみようよ。テーブルの引き出しを開けてごらん。』
お母さんの一言に、二人は早速答え合わせ。
『え!!ダチョウだって!すごい大きい!』
仲良し二人は、同時にびっくり!
初めて触れた鳥たちの世界に少しずつ夢中になっていった兄妹は、その足で一階片隅にある魚のコーナーへ。鳥館は、鳥だけでなく沼に生息する一部の水生生物も扱っているので、それも楽しいポイント。
水槽に入った見たこともない色鮮やかな魚たちに、お母さんも夢中!その中でも、黄金色の巨大なナマズは不思議な雰囲気で、ジイッと親子の様子を伺いながら睨めっこ。
『おーい。起きてるの?動かないねぇ。』
黄金ナマズは、ちょっぴり緊張しているのかな。
すっかり伊豆沼・内沼の生き物たちに惹き込まれた親子は、館内二階へ出発!
途中の踊り場には、沼に生息するオオハクチョウの等身大イラストが親子をお出迎え。兄妹は仲良く揃って白鳥の前に立ち、ぐーんと腕を広げる。
『ねえねえ、ハクチョウと同じくらい?』
ふふふっと微笑むお母さんを追いかけるように、二人は無邪気に笑い掛ける。親子旅はそんなひとときの時間が、想い出のワンシーンになっていくもの。一緒に過ごす全部がとっておきの時間だ。
二階には伊豆沼を専用望遠鏡で観察出来る「ビューラウンジ」と、沼の歴史と人間と自然の関わりに触れられる「伊豆沼・内沼の現在と未来」この二つのコーナーがある。親子はまず、ビューラウンジで目の前に広がる伊豆沼を観察してみることに。
小さな二人にぴったりの小型望遠鏡で、野鳥探しに挑戦!鳥たちも二人に見つからないようにと、そぉっと動くけれど・・・どうやら見つかった様子。
『あ!あそこの木に何かの鳥がいる!』
『え、どこどこ?』
『ほら、あそこだよ。』
三人は伊豆沼に生きる野鳥たちの姿を見て思わず笑みが溢れ、きっと鳥たちもまた親子のその表情に大満足していたかもしれない。
そして親子は「伊豆沼・内沼の現在と未来」のコーナーへ。展示スペースには木造の格子状の柱がいくつも建てられていて、その間には野鳥たちの骨や植物の種などが並び、なんだか不思議な雰囲気。
『沼の中にいろんな生き物がいるね。あそこにも何かいるよ!』
大昔の伊豆沼に生きていた生物と、現在との違いはなんだろう?海外からやってきた生物にはどんな種類がいるのかな?そんな疑問を展示を見ながら知っていく。親子の眼差しは少しずつ真剣な表情に。
『すごいねぇ。見たことある虫もいるけど、初めて見たのもいる!』
親子で学び感じる沼の歴史と、自然と人間との関わり。この時間もまた、大切な歴史の1ページだ。多くの時を経て伊豆沼・内沼を取り巻くたくさんの生物たちは進化し、そしてこれからも人間とともに生きていく。
『楽しかった?』
お母さんの声に、二人はニッコリと笑顔で頷いた。
さあ、次に親子が向かう場所は、お兄ちゃんが大好きな昆虫がいっぱい居る施設、「栗原市サンクチュアリセンター つきだて館(昆虫館)」だ。出発!
■場所情報■
名称:宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)
住所:宮城県栗原市若柳字上畑岡敷味17番地2
営業時間:9:00~16:30
休館日:月曜日(※祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日、年末(12月29日から12月31日)
駐車場:施設そばに専用駐車場有り(無料)
おすすめ情報:施設を見学前または後に、伊豆沼周辺を散策して本物の野鳥を見つけてみよう!また、毎年7月下旬から8月下旬にかけて伊豆沼では「伊豆沼・内沼はすまつり」を開催。同施設から徒歩約7、8分で、祭り会場(若柳会場)まで行けるため施設の見学と併せて、思いっきり伊豆沼を楽しもう!(※毎年のハスの花の開花状況により中止や延期になる場合も有り)
栗原市サンクチュアリセンター つきだて館(昆虫館)
伊豆沼・内沼の豊かな自然が広がる周囲には、沼に生きる生物たちについて学べる施設がいくつかあり、その中の「栗原市サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)」では昆虫の世界や、人と自然の営みについて親子で学びながら楽しめる。その佇まいは、内沼のほとりにポツンと建つ三角帽子をかぶったログハウスのような姿。
夏休みの想い出づくりに栗原市に親子旅に出掛けている三人は「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」で沼の鳥たちを見学してから、次にやって来たのは「栗原市サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)」。
一体、どんな虫たちと出会えるかな?
さあ、いよいよ小さな昆虫たちの世界に出発だ!
館内に入るとまるで木の中に潜り込んだような、不思議とぬくもりを感じる空間が広がっていた。見上げると山小屋風の天井がとても素敵。
『あ!これお花?あ、虫もいる!』
入口すぐ目の前には折り紙で作られたハスの花やセミ、そしてバッタにチョウなど、紙の世界の虫たちが親子を迎え入れてくれた。これらの紙の昆虫たちは、来館記念として自由にお持ち帰り可能!兄妹はどれにしようかなあと、真剣な表情。
その最中、お兄ちゃんが奥にいた本物のカブトムシたちの姿を発見!
『ねえ!カブトムシいる!動いてる。』
昆虫大好きなお兄ちゃんは満面の笑みを浮かべて、重厚な鎧を身につけたカブトムシを、ヒョイっと腕に乗せる。
『カブトムシ、触ったことない・・うーん。』
お兄ちゃんの楽しそうな姿を横で見つめていた妹の言葉に、お母さんは大丈夫だからという表情で、手のひらにカブトムシを乗せてみせる。でも実は、お母さんも初めてのカブトムシ。
その姿に安心した妹は『えいっ』と一匹を掴み持ち上げる。すると驚きと同時に頬がゆるみニッコリ。
『うわあ!ここのツノのところ、硬い』
お母さんと妹の二人にとっては、初めて触れたカブトムシの硬さや動き、そのすべてが学びの経験になり、そしてお兄ちゃんもじっくりとカブトムシを観察できた様子だ。
そして親子は一階の「レクチャールーム」へ。館内は二階建ての造りになっていて、一階には休憩をしながらワークショップや昆虫に関する本が読める「レクチャールーム」に、メインの「展示室」と「シアタールーム」そして「販売コーナー」がある。レクチャールームに入り兄妹が発見したのは、大きなカブトムシたちのぬいぐるみ。
『ほら見てみて!すごいでしょう』
妹は本物のカブトムシを初めて触って、ちょっぴり昆虫に親しみを持ち始めた様子。その姿を愛おしそうに見つめるお母さんもまた、嬉しそう。親子で挑戦した初めての体験は、きっとこれからも心に残るもの。きっとカブトムシにとっても、想い出になるかも?しれない。
次に、二人は昆虫たちの塗り絵に挑戦!用紙は自由にお持ち帰りができるので、全部を完成させなくても、自宅で続きを楽しめるのが嬉しいポイント。二人ともお気に入りの五種類を片手に、次のコーナーへ。
レクチャールームを後にした親子は、次に展示室「伊豆沼・内沼の昆虫」のコーナーへ。ここは、二つの沼に生きる昆虫たちを標本で楽しめる場所だ。本物の虫たちなので、ショーケースに展示されているとはいえ、迫力満点!馴染みのある虫の他にも、まだ見たことがないものまで様々。
同じトンボでも羽や目の色がちょっと濃かったり、身体の模様が違ったりして伊豆沼・内沼にこんなにたくさんの虫がいると思うと、沼は生き物たちにとっての命の水瓶なんだということを改めて感じる。
『すごいねぇ・・・』
じんわりと虫の世界を感じながら、お隣の「シアタールーム」へ。ここでは「伊豆沼・内沼昆虫記」という、沼に暮らす昆虫たちをテーマにした短編映像を観ることができる。三人は仲良く席に腰掛けて、始まるのを待っていると・・
『わあ!上を見て!大きいチョウ!』
親子が見上げた先には、大きなアゲハチョウのサプライズ!よく見ると柱にはトンボの姿まで。なんだか人間がとっても小さくなった気分。きっとアリやテントウムシたちは、アゲハチョウの姿がこの位に見えるのかな?
『あ!これ、見たことある!』
お待ちかねの映像がスタートすると、親子揃って仲良く同じ動きで指を差す。沼でよく見かける馴染みの虫から初めてのものたちまで、見進めるほどに実際に虫観察に出かけたくなる気持ちに。それがこのシアタールームの面白いところ。
次第に昆虫の世界へと惹き込まれていった三人は、館内二階へと出発!
二階は展示室「世界の昆虫」と展望コーナー「2台の望遠鏡」があり、まずは展示室へ。そこには日本以外の国々で暮らす昆虫たちの標本が展示されていて、それらは例えば七色に輝く巨大なチョウや、葉っぱを背負ったようなバッタなど、とってもユニーク!
『ほら、これ見て。手よりも大きいんだよ!』
目一杯に背伸びをして大きな蝶々に手をかざすと、鮮やかな蝶々の羽はとても隠れきれずにチョロリと顔を出す。
『虫っておもしろいね!』
珍しい形に色、これらの見たこともない生き物たちを目の前に、いつしか親子はすっかり昆虫の世界に夢中に。どうしてこの形なのかな?色や模様も、なぜこの色なのかな?虫たちの姿から芽生えた疑問が学びとなり、そしてまた親子の大切な時間だ。
最後に展望コーナー「2台の望遠鏡」で内沼観察。小さな兄弟にはちょっぴり大きめの望遠鏡だけど覗いてみると・・・
『あ!あそこの水のところに鳥がいるよ』
『どこ?あれ?』
本格的な望遠鏡なので内沼の水面や、周辺の植物に野鳥もしっかりと見ることができる。そしてもちろん、昆虫たちも観察してみよう!
『どう?楽しかった?』
お母さんは優しく二人を覗きこむと、そこには小さな兄妹のとびきりの笑顔があった。そして腕時計を見ると、もうお昼の時間!あっという間に時間が過ぎていて驚きつつも、夢中になっているということに、なんだか嬉しさも込み上げてくる。
『さあ、お昼ご飯食べに行こっか!』
『お腹すいたぁ〜!』
親子三人は足早に車に乗り込むと、朝に降り立った「JRくりこま高原駅」前のシンボルタワー「エポカ21」へと向かった。
■場所情報■
名称:栗原市サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)
住所:宮城県栗原市築館字横須賀養田20番地1
営業時間:9:00~16:30
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、祝日の翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:専用駐車場有り(無料)
おすすめ情報:施設を見学前または後に、目の前にある内沼周辺を散策して昆虫を見つけてみよう!そして毎年7月下旬から8月下旬にかけて内沼では「伊豆沼・内沼はすまつり」を開催。同施設の目の前が祭り会場(築館会場)なので、施設の見学と併せて内沼を楽しもう!(※毎年のハスの開花状況により中止または延期の場合有り)また、施設お隣の「スワントピア交流館」には「Hotsandwich&Coffeeひしの実」という喫茶店もあるので、内沼散策の合間の休憩場所としてもおすすめ。
展望レストラン B&J KITCHEN
栗原市の玄関口「JRくりこま高原駅」の目の前には、高さ約38メートルのシンボルタワー「エポカ21」がある。それはフランスの凱旋門のようなユニークな形をしていて、中には宿泊施設やお土産物の販売、レストランにブライダル施設などもあり、観光で訪れた人々を含めて地元で親しまれている施設だ。特に5階(最上階)の展望レストラン「B&J KITCHEN(びーじぇー きっちん)」ではハンバーグやステーキ、パスタなどの洋食メニューを楽しみながら、栗駒山や伊豆沼などを一望できるロマンティックなお店だ。
夏休みの想い出づくりに栗原市に親子旅に出掛けている三人は、午前中に「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」で沼の鳥たちを見学して、そして「栗原市サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)」では珍しい虫たちに大はしゃぎをして来た。たくさん歩いたし、動いたので三人はお腹ペコペコ!美味しいお昼ご飯を食べようと、昆虫館からJRくりこま高原駅方面に向かって、車で約10分の場所にあるB&J KITCHENにやって来た。早速、親子は窓際にあるテーブル席に座り、大きな窓から外を眺めて見ると・・
ほんのり黄色に染まった田んぼの絨毯に、小さく見える車や建物そして奥には山々の姿も!見渡す限り、豊かな栗原の大自然が広がっていて、なんだか気分は空中のレストランに来たみたい。
『あ、見て!新幹線来た!』
『どこどこ!?』
兄妹が窓から発見したのはJR東北新幹線の姿。
シューっとグリーン色の車両が駅に入り込む姿は、スマートで格好良い!二人は目を大きく輝かせながら、新幹線に興味津々の様子。一方でお母さんはレストランのメニューを見ながら、ピザとナポリタンを注文。
新幹線に夢中の二人の姿を見つめて、微笑みながら『お腹すいた?』と聞くと、『うん、お腹すいた!』の元気な声。この一言は、お母さんをホッと安心させる魔法の言葉。やっぱりご飯を食べる元気が無いと心配になっちゃうよね。
さあ、まずは腹ごしらえをして午後からの冒険に備えよう!
栗原市では地場産品を使用した地域飲食店のメニュー開発も積極的に行っていて、栗駒山麓ジオパーク特産商品として厳しい審査に勝ち抜いた認定メニューを「栗駒山麓のめぐみ」と呼んでいる。 B&J KITCHENにも認定メニューが二つあり、一つは栗原産の味噌と野菜をたっぷり使用した「くりはら野菜の味噌ピザ」、そして栗原の郷土料理「はっと(※小麦粉を練って伸ばしたもの)」をグラタンに入れた「くりはら産 彩り野菜deはっとグラタン」の二種類がある。
『はい、お待ちどおさまぁ』
ウェイターさんが美味しい香りをさせながら持ってきてくれたのは、野菜とトマトソースにたっぷりチーズが乗った焼きたてピザ。
『来たきた!』とお母さんは大はしゃぎ!
パリッと焼き上げられたピザ生地からは、ほんのり甘い香りが立ち上り、そこに芳醇なチーズの香りが加わって、う~ん!食べるのが待ちきれないほど。でも、まだ熱々なので手で持ち上げるにはちょっと工夫が必要かな。サイズは大皿に目一杯で、直径25センチくらいの大きさ。
『はい、ナポリタンね。熱いから気をつけてねぇ』
そして運ばれて来たのは、フレッシュトマトソースたっぷりのナポリタンがテーブルに仲間入り。ふあっと広がるトマトの爽やかな香りと、ピザのチーズの香りが親子のテーブルをふんわりと包み込む。
『いただきまあす!』
さあ、ご飯の時間がスタート!親子三人はボリューム満点のピザとナポリタンをシェアしながら『おいしいね!』と、ニッコリもぐもぐ。
お兄ちゃんは、ふうふうと熱々チーズを頬張って大満足。
さあ、たくさん食べたら次はいよいよ親子旅の後半「細倉マインパーク」へ出発だ!
■場所情報■
名称:展望レストラン B&J KITCHEN
住所:宮城県栗原市志波姫新熊谷279-2
営業時間:[ランチ]11:00~14:30、[ディナー]17:00~21:00※ラストオーダーは閉店時間の30分前
休館日:第3水曜日
駐車場:エポカ21併設の駐車場有
おすすめ情報:B&J KITCHENでは季節ごとにスペシャルメニューが登場するので、例えば秋のハロウィーンの時期や、冬のクリスマスシーズンなどに併せて来店をするのもおすすめ!洋食レストランとはいえ気取らずに普段着で楽しめるから、家族で行きやすいのも素敵なところ。天気の良い日を狙って、景色を眺めながらお気に入りのあの人と最高の時間を過ごそう!
細倉マインパーク
栗原市には大昔(約1200年前)日本国内でも有数の鉱山「細倉鉱山(ほそくら こうざん)」があり、主に亜鉛や鉛を始め、少量ながら金も採掘されていた時代があった。1987年に鉱山が閉山してからは、その跡地に学びながら楽しめるテーマパーク「細倉マインパーク」がオープン(※1990年オープン後に2016年リニューアル)。
全長777メートルのひんやりとした鉱山の洞窟(坑道内)には、跡地だからこそ感じるワクワクが詰め込まれていて、そして施設外のエリアには、高さ約555メートルから専用の乗り物でコースを滑って楽しむ「スライダーパーク」も併設。歴史を学びながらも身体を動かして遊べる、新感覚のテーマパークだ!
夏休みの想い出づくりに栗原市に親子旅に出掛けている三人は、午前中に「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター(鳥館)」で沼の鳥たちを見学して、そして「栗原市サンクチュアリセンターつきだて館(昆虫館)」では珍しい虫たちに大はしゃぎをして来た。その後に、JRくりこま高原駅前の「展望レストラン B&J KITCHEN」で美味しいお昼ご飯を食べた親子は、そこから車で約30分の場所にある「細倉マインパーク」にやって来た。
早速、小さな兄妹は施設のメインキャラクター「マイン坊や」に駆け寄り、興味深そうにジイっと見つめる。
『一緒に撮ってあげるよ。こっち向いて、撮るよ~!』
お母さんの掛け声に合わせて、二人はマイン坊やの真似をして、指をぴょんと上に向けたポーズで、ニカッと決めポーズ。マイン坊やも二人を歓迎してくれているかな?
『あ!あれ見て!』
記念撮影を終えた妹が山に向かって目を向けた先には、ゆっくりと揺れ動くリフトの姿。そのリフトで山の中を登ってから、約555メートルの位置から専用の「スライダー」で、ビューンと滑り降りていくという仕組みだ。
親子は行くぞぉ~!と、目を輝かせてリフト乗り場へ出発!
小さな兄妹とお母さんを乗せたリフトは『しっかりつかまってね!』と言わんばかりに、ウィーンと小さな声を上げながら栗原の大自然の中をぐんぐん登っていく。リフトの乗車時間は約5分間くらいだけど、その時間はとっておきの空中散歩の時間!最初はちょっぴり高く感じるけれど、慣れるととっても心地よくて大きく深呼吸をすると山の良い香りが身体中に入り込んでいく。
『せーの!』
声を揃えて、ピョンとリフトから飛び降りるとホッとした表情のお母さんと妹。
一方のお兄ちゃんは高いところは怖くないよと平気な様子で、足早にスライダーの乗り場へ。
専用の乗り物は、見た目は小さなソリのような形をしていて、そこに一本のブレーキが設置されているというもの。子どもはもちろん大人も乗れるサイズで、足をまっすぐに伸ばしたら両手でしっかりとブレーキを掴む。
『前の人にぶつからないように、ブレーキを上手く使って滑りましょう』
係員の方がにっこりと親子に微笑むと、兄妹は真剣な表情でコクンと頷く。
先頭を走るお兄ちゃんは、後ろにいる妹をちゃんとチェックして、そして一番後ろのお母さんは二人の様子を優しい表情で包み込む。
さあ、準備が整ったら親子のスライダー体験のスタートだ!
グググっと出だしはゆっくりと進んだお兄ちゃんだけど、一気に加速してピューっと緑の中を颯爽と走り抜ける!ゆるやかなカーブまでも味方につけて、その姿はスライダーのヒーローになったみたい。
その後を追って、妹も負けないほどのスピードでぐんぐん進む!
お母さんは小さなヒーロー・ヒロインたちを追って、ビューンと森の中を駆け抜けていく。
約555メートルをあっという間に走り抜けたお兄ちゃんは、その爽快感と自分で運転をして進むスライダーの乗り心地に、清々しい表情を浮かべてゴールイン!
そして妹とお母さんも、とっても良い笑顔で到着!スタートまではどんな感じかなとドキドキしていたけれど、親子は大満足。
大迫力のアトラクションを楽しんだ後は、鉱山の洞窟探検に出発だ!
スライダーパークのリフト到着地から敷地内を歩いて行くと、二つのトンネルが目の前にぽっかりと見えてきた。これが閉山まで亜鉛や鉛などが採掘されていた細倉鉱山の坑道入口(地下道)だ。入口に近づいていくと中からつめた~い冷気を感じて、親子は顔を見合わせてちょっと寒いねという表情。
中の温度は、一年中「約14度」に保たれているので、夏はひんやりと冷たくて真冬はちょっと暖かく感じる環境。親子が訪れた時期は夏休み真っ盛りの8月中旬だったので、外の平均気温は約33度前後と坑道内との温度差は約15度!温度差があるので時期によっては、温度調整ができるアイテム(羽織物など)を準備しておこう。
ヒタヒタ・・・。
ぽちゃん・・・。
滴り落ちてくる洞窟内の冷たい水と、自分たちの歩く足音が耳に鳴り響く。
『うわあ、なんかすごい!』
親子は周囲を見渡しながら、坑道内の荒々しく削られた本物の岩穴の雰囲気に目をまんまるにして、ゆっくりと歩き進む。
『あ!光ってるのがあるよ。』
そう言って兄妹が近づいてみると、そこには頑丈な鉄格子の部屋があり、なにやら中にはいろいろな道具が展示されているみたい。
『このボタン、押してみよう!』
妹がエイッとボタンを押すと、どこからか声が聞こえてきて・・・
『ここは昔、火薬庫として使用されていた部屋で・・・』
どうやら、この部屋の説明アナウンスが流れてきた様子。
ここで亜鉛や鉛など多種類の鉱石を採るために、ドーンと爆発する火薬が必要だったということ、そしてその火薬がここにあったということを目の当たりにして、親子はすごいねぇと驚きの表情。
そして兄妹は不思議な一本のレバーを発見。
二人で一緒に動かすと・・・・
カチャリ・・
ドズーン!!
『ひゃあ!』
洞窟内の奥から光出した赤いライトと大きな爆発音に、小さな兄妹二人は一斉に飛び上がり、ビックリしながらもちょっぴり嬉しそう。
二人が操作したレバーは、鉱山が現役時代に行っていた採掘の様子を再現したもので、火薬を爆破するための操作レバー。滅多にできない体験をした二人は、すっかり鉱山の中に慣れた様子でどんどん奥へと進んでいく。
三人が次に見つけたのは、なんと細倉鉱山の事務所!
『すみません』と思わず声をかけてしまいたくなるような、本物の人間のような人形たちが親子をお迎えしてくれた。
親子が事務所の窓から中を覗き込んでみると、そこには黒板や地図に神棚など当時の様子がリアルに再現されていて、同時に方言混じりの会話の音声まで!
まるで現場にタイムスリップをした様な、不思議な空間が広がっていた。
そして洞窟内の中間地点付近に辿り着くと、途中に「カンテラまつり」と天井が光り輝く場所を発見!細倉マインパークでは、7月22日から8月31日(※日程は2023年の例)までの夏休み期間中に、約300個の手作りカンテラが坑道内に展示され、幻想的な世界を楽しむことができる。
昔々、鉱山で採掘作業が行われていた時代には、燈竹(ひだけ)と呼ばれる物で坑道を照らしながら作業をしていたけれど、そこから次第にカンテラへと移り変わっていったそう。
そのカンテラの歴史が現代で夏のイベントとして生まれ変わり、家族で楽しめるのは素敵なこと。三人がきらびやかなカンテラを見上げて過ごしたひとときは、きっと楽しいだけじゃなく歴史も学ぶことができたスペシャルな夏の想い出になったね。
カンテラのあたたかな光の道を抜けると、そこには「山神社」と掲げた鳥居の姿。
『行ってみよう!』
親子は三人揃って一列に並び、小さくお辞儀をしながら早速中へ。
この神社は栗原市鶯沢にある「細倉山神社」の分家で、山の神である大山祇神(おおやま つみのかみ)、鉱山や製錬の神である金山彦神(かなやま ひこのかみ)、金山姫神(かなやま ひめのかみ)の分霊が祭られていて、1990年に細倉マインパークが誕生した際に観光繁栄を願って建てられたもの。
山神社に手を合わせた親子は、そのまま坑道の一番奥にある砂金採り体験コーナーへ!
細倉鉱山は元々「銀」が採れる場所として有名だったけれど、次第に「鉛や亜鉛」も多く採掘され始め、鉱山が閉山するまでになんと約二千三百万トンも採れたそう。その一方で、実は「金」も発見されていたことは、当時はあまり知られていなかったんだとか。その素敵な歴史を現代で「砂金採り」として体験できるというのは、なんだか嬉しいね!
さあ、親子は早速初めての砂金取りに挑戦。最初に手を洗ったら、砂金が眠っている専用の水槽前に三人並んで、よし準備OK!
親子は係員の方の説明を聞いた後に「パン」と呼ばれる専用トレイを両手に掴んで、『ヨイショ』と水の中に沈む砂をすくいあげる。三人はお手本の手の動きを真似しながら、そっとトレイを動かしながら砂を見つめる。
その表情は真剣!
トレイで砂をすくったら、ゆっくりと車のハンドルを動かすように両手を左右に回して、砂を少しずつ落としていく。金は砂よりも重いので、砂の底に隠れている可能性が高いみたい。見つけられるかな・・・
『ちょっと砂が多いねぇ』
係員の方のアドバイスに、妹はいたずらっ子の様にくしゃっと笑う。
そして三人が少しずつ砂に集中をしていくうちに・・・・
『あ!これ金じゃない?あった~!!』
トップバッターの座を獲得したのは、お母さん。
その声に小さな兄妹は大きな声をあげて『見せてー!』
キラリと黄金色に輝く小さな金の粒には、細倉鉱山の壮大な歴史がギューっと凝縮されている宝物!
さあ、兄妹もお母さんに負けずに砂をジィっと見つめ直す。
すると・・・お兄ちゃんが砂の中から光るものを発見!
『あ、あった!』
山神社にお参りをした効果かな?親子に黄金ラッシュの波が訪れて、お母さんお兄ちゃんの二人合わせて三粒の砂金を見つけることに成功!
最後に、採ったばかりの金をカードにしてお持ち帰り。妹は金を発見できなかったけれど、カードをもらって親子三人仲良くニッコリ笑顔で記念撮影。
約1200年の歴史がある細倉鉱山の跡地「細倉マインパーク」には、自然を身体いっぱいで体感できる555メートルの大迫力スライダーに、本物の鉱山内を歩いて触れてそして自分で金を採掘(見つける)する、そんなたくさんの体験が盛りだくさんだった。
朝から夕方まで色々な体験をして来た親子の栗原の旅。過ごした時間は小さな兄妹が成長していくのと一緒に、きっと大きな宝物になっていく。
『楽しかったね!』
三人は仲良く顔を見合わせ無邪気な笑顔で、夏休みの旅を締めくくった。
親子で楽しむ栗原の歴史と自然に寄り添う旅は、きっと書ききれないほどのたくさんの出来事が待っているはず。
さあ!出掛けてみよう、親子で栗原の冒険の旅へ。
■場所情報■
名称:細倉マインパーク
住所:宮城県栗原市鶯沢南郷柳沢2-3
営業時間:[3月から11月] 9:30~17:00、[12月から2月] 9:30~16:00
休館日:火曜日(祝日の場合は翌日が定休日)、年末年始(12月31日から1月3日)、※ゴールデンウィークと夏休みは休まず営業
駐車場:有り(500台駐車可能)※大型バスも15台駐車可能
おすすめ情報:「細倉マインパーク」からJR石越駅方面に向かって、車で約30分ほどの場所に親子で鉄道の歴史などを楽しめる「くりでんミュージアム」があります。そこでは2007年春に惜しくも廃線となった「くりはら田園鉄道(通称:くりでん)」の本物の車両や、鉄道の路線地域の本格ジオラマに関連資料、そして車庫などの設備がそのまま展示されていて、大人の鉄道ファンはもちろんお子様も楽しめる施設です。ただ見学するだけでなく実際に車両に乗車して写真を撮ったり、くりでんの車掌さんの帽子をかぶって鉄道シュミレーターで運転操作を行ったりすることも可能!また、定期的に施設隣の「旧若柳駅舎」の線路で実際の配線車両の乗車イベントも開催。細倉マインパークと併せて親子で楽しめるおすすめスポットです!